遺言書
被相続人が誰にどのくらいの遺産を相続するのかを書いた遺言書は、被相続人(遺言者とも言います)にとってはもちろん、遺産相続をする相続人にとってもとても重要なものであります。遺言書はかなり形式的に厳格なところがあり、民法の規定に沿った書き方をしていない遺言書は無効であり(民法960条)、効力を持たない紙切れと化します。その場合は共同相続人全員の間でどのように遺産分割をするかについて協議(遺産分割協議)を行います(民法907条1項)。
どのような場合に遺言書は無効となるのでしょうか。まず15歳未満の者の遺言は無効です(民法961条)。また、遺言書を作成する当時に被相続人が成年被後見人など事理を弁識する能力を有していない場合も無効です(民法963条)。
普通の方式、つまりあらかじめ用意したものとして遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つがあります(民法967条本文)。
自筆証書遺言とは、遺言者が文字通り自筆した遺書であり、全文・日付・自分の氏名を記さなければなりません(民法968条1項)。ただし相続財産の目録は自筆でなくても構いません(同条2項)。
公正証書遺言とは、証人2人以上の立ち会いのもとで、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述することで公証人が筆記し、遺言者・証人・公証人の署名と捺印がされた遺言書を言います(民法969条)。
秘密証書遺言とは、遺言者が署名・捺印を記し、遺言者が印章で封印した遺言書を公証人が公証したものです(民法970条1項)。遺言者は、公証人1人及び証人2人以上の前に秘密証書遺言を提出し、自己の遺言書であること・自分の氏名と住所を申述しなければなりません(同項3号)。なお未成年者・相続人になると推定される人やそれに近い人は証人になることはできません(民法974条)。
公正証書遺言を除いた遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後にすぐ遺言書を家庭裁判所に提出し、その検認を請求しなければなりません(民法1004条1項・2項)。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています(同条3項)。検認を経ないで開封した場合は5万円以下の過料が課せられます(民法1005条)。
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弁護士紹介
昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。
市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。
また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。
裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/
弁護士 牧野 茂
- 所属団体
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- 第二東京弁護士会(17922)
- 第二東京弁護士会裁判員センター
- 日弁連刑事弁護センター幹事
- 著書
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- 裁判員裁判のいま(成文堂)
- 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
- 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
- 裁判員制度の10年(日本評論社)
事務所概要
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