欠陥住宅
新築の住宅に雨漏りが生じたり、不自然な隙間が見つかったりして、欠陥住宅であることが判明した場合、一定の場合では法的な救済を得ることができます。見つかった欠陥をそのまま放置するのではなく、建築業者や不動産業者に報告することで、欠陥の修繕・補填等を実現することもできます。
欠陥住宅とは、ここでは設計・建築の段階において予測しうる建築上のミスが住宅の所有者に引き渡される段階に至っても修正されなかった住宅のことをいいます。欠陥住宅の典型例と言える事例として、建売問題を挙げることはできるでしょう。
購入した住宅が欠陥住宅であったとしても、泣き寝入りをする必要はないわけです。もちろん、注文住宅の場合も変わりません。
欠陥住宅問題の難点は、その住宅の欠陥が購入時点にすでに備わっていたか否か、また一般的な建築業者が有する程度の安全性に対する注意払っていたか否かが問題となります。これらを判断するために、建築調査の専門である一級建築士による調査を仰ぐことが一般的です。
一級建築士の意見をもとに、建築業者に対して住宅の修繕や(上限として建て直し費用に相当する)損害賠償請求を行なっていくことになりますが、方法はいくつかあります。
まずは、建築業者ないしは買主と交渉をしてみることです。
交渉が不成立の場合には、調停や訴訟など裁判制度を用いて訴えることになります。新築の売買契約の場合、売主は買主に住宅が引き渡されてから10年間、柱・梁などの住宅の構造耐力上主要な部分などの瑕疵について担保責任を負い、買主は債務不履行に基づく損害賠償請求権・契約解除権・追完請求権・代金減額請求権を行使することができます(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項)。
ただ、訴訟には経済的・時間的コストが大きいことに注意が必要です。
具体的に、欠陥や建築トラブルとは法律上どのようなものを指すのでしょうか。
まずは不動産の売主は気づいていたが、不都合であるために買主に知らせなかった欠陥だったり、社会通念上備わっているべき設備や基準を超えていないという欠陥は、法律上欠陥として認められます。この場合、不動産売買契約の契約不適合責任が問われることになります(民法562条以下参照)。また、構造耐力上主要な部分または水漏れを防止する部分について建築業者が予期していないような隠れた欠陥も欠陥として認められることがあります。この場合、建築業者が買主から不動産を引き渡したときから10年間、建築業者が瑕疵担保責任を負うことになっています(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項)。不動産業者から新築住宅を購入した場合は、売主が買主に不動産を引き渡したときから10年間、構造耐力上主要な部分に関する瑕疵担保責任を追うことになっています(同法95条1項)。
契約不適合責任にせよ、瑕疵担保責任にせよ、欠陥住宅の買主は建築業者や不動産業者に対して、契約の追完請求、損害賠償請求、契約の解除を請求することができます。
追完請求とは具体的に、欠陥の補修を行うことです。
損害賠償請求と聞くと仰々しいかもしれませんが、ここでの損害賠償請求とは具体的には債務不履行に基づく損害賠償請求のことを指し(民法415条1項)、欠陥住宅の補償を意味します。民法上これとは別に不法行為に基づく損害賠償請求もあります(同法709条)。
欠陥住宅が問題となる場合、不法行為に基づく損害賠償請求は主に慰謝料請求のために用いられることがあります(同法710条も参照)。
慰謝料は精神的苦痛の賠償に他ならならず、個別具体的な判断が伴うために、相場を測ることは難しいですが、重大な欠陥があった場合に100万円前後が認められることがあるようです。
契約の解除とは、売買契約を元から無かったようにすることです。ですので、欠陥住宅は買主から売主の下に渡ります。
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弁護士紹介
昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。
市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。
また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。
裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/
弁護士 牧野 茂
- 所属団体
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- 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
- 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
- 裁判員制度の10年(日本評論社)
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