フェアネス法律事務所 弁護士 牧野 茂 > 企業法務 > 【内部統制の基礎知識】目的や構成要素、重要性など

【内部統制の基礎知識】目的や構成要素、重要性など

内部統制とは、会社における経営目的を達成するために必要なルールを構築し、適切に運用するプロセスのことをいいます。
このページでは、内部統制の目的・構成要素・重要性についてご紹介します。

 

◆内部統制の目的
 内部統制の目的は次の4点にあります。


・業務の有効性・効率性
・財務報告の信頼性
・事業活動にかかわる法令等の順守
・資産の保全

 

これらは、金融庁の企業会計審議会が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」において定義したものです。

 

・業務の有効性・効率性
これは、企業の設置目標に、合理的に、効率よく到達することをいいます。

 

・財務報告の信頼性
これは、財務に関する情報に虚偽の記載がなされることを防止し、株主や取引先等のステークホルダー(利害関係者)からの信頼を確保することをいいます。
日本では、かかる目的の達成をフォーカスした制度として、内部統制報告制度があります。これを、日本版SOX法、J-SOXといいます。
SOX法とは、相次いだ大規模粉飾決済事件を契機にアメリカで制定された投資家保護の法律のことをいいます。

内部統制の重要な目的には、投資家の保護も含まれています。
上場企業は、内部統制報告書を金融庁に提出することが義務付けられているところ、内部統制報告制度(JSOX)とは、有価証券報告書を正しく作成できるシステムを構築し、正常に機能させることを義務付ける制度です。

 

・事業活動にかかわる法令等の順守
重大な法令違反を起こすと、企業に大きな損失を与えることがあります。
企業は、企業の活動を行う上で遵守するべき法令を遵守すること(=コンプライアンス)を徹底する仕組みを構築・運営することが求められます。

 

・資産の保全
資産の有形・無形を問わず、その入手・管理を適切に行うことをいいます。

 

◆内部統制の構成要素
内部統制の構成要素は次の6点にあります。


・統制環境
・リスクの評価と対応
・統制活動
・情報と伝達
・モニタリング
・ITへの対応

 

・統制環境
内部統制を運用する側の意識が備わっていることが重要となります。

すなわち、内部統制の重要性と遵守する必要性、仕組みを共有することで、内部統制の効果が発揮されます。
これは、すべての構成要素の土台となっています。

 

・リスクの評価と対応
組織の目的達成のために発生し得る内的・外的リスクを正しく識別・分類・分析・評価し、正しく対応することをいいます。
対応の在り方には主に、回避・低減・移転・保有があります。

 

・統制活動
権限・職責の付与等、経営者の命令が適切に実行されることを確保するための手続、方策をいいます。

 

・情報と伝達
必要な情報が正しく伝わることをいいます。統制活動が正しく従業員に伝わるシステムを備えることが求められます。

 

・モニタリング
内部統制が正しく機能しているかどうかをチェックすることが求められます。

 

・ITへの対応
業務の実施において、企業内外のITに正しく対応することが、日本の内部統制の特徴といえます。
IT化されている作業について、内部統制を加えることが求められています。

 

◆内部統制の重要性
内部統制を正しく行うメリットは、以下3点にあります。


・事業の効率化
・社会的信用の獲得
・職場環境の改善

 

・事業の効率化
上述のように、企業の全体像を詳細に把握し、適切な内部統制を実施することによって、事業の効率化を図ることができます。

 

・社会的信用の獲得
内部統制は、ステークホルダーを保護する側面があり、適切な財務管理、コンプライアンス遵守、事業の効率化はステークホルダーの信用に繋がります。

 

・職場環境の改善
社内ルールの統一・コンプライアンスの順守・不正業務の防止は、働きやすい環境づくりに繋がります。

 

当事務所は、法人、個人(社員、親族)のあらゆる法律相談に応じられる体制をとっております。一般民事法、会社法の相談ばかりではなく、特別法分野と言われる労働法、医療関係、知的財産権、独禁法、税法、倒産法、相続等まで全てをカバーしております。
内部統制、そのほか法律問題にお困りの方はお気軽にご相談ください。

当事務所が提供する基礎知識

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。


市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。

また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。


裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/


弁護士 牧野 茂

所属団体
  • 第二東京弁護士会(17922)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター
  • 日弁連刑事弁護センター幹事 
著書
  • 裁判員裁判のいま(成文堂)
  • 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
  • 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
  • 裁判員制度の10年(日本評論社)

事務所概要

名称 フェアネス法律事務所 弁護士 牧野 茂
所在地 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-4-1 日土地ビル10階
電話番号 / FAX番号 TEL:03-3500-5330 / FAX:03-3500-5331
対応時間 平日:9:00~18:00 ※時間外も対応しております(要予約)
定休日 土・日・祝日 ※対応しております(要予約)
アクセス

地下鉄銀座線虎ノ門駅下車(7番出口より徒歩1分)

丸ノ内線・日比谷線・千代田線 霞が関駅下車 A12出口より 徒歩3分

  • 牧野弁護士
  • 事務所外観