犯罪被害

損害賠償請求とは、相手方の「債務不履行」あるいは「不法行為」によって損害を受けてしまった場合に、金銭的な補償をしてもらうことのできる請求をいいます。「債務不履行」とは、相手方と契約関係にある場合で、相手方が契約に基づく債務を履行しなかったとき、これに当たります。また、「不法行為」とは、相手方と契約関係にあるかどうかは関係なく、相手方が違法な手段を用いてきたとき、これに当たります。それぞれの損害賠償請求は民法に定められており、条文で求められている要件を満たしていれば、その請求ができることになります。請求をする相手は、個人だけでなく、企業といった団体でも良いことになっています。

 

それでは、犯罪被害にあった場合の損害賠償請求は、「債務不履行」と「不法行為」のどちらになるでしょうか。基本的に犯罪は、法に違反した行為になりますから「不法行為」を構成します。そのため、不法行為に基づく損害賠償請求をしていくことになります。ここでは、不法行為に基づく損害賠償請求をするためにはどのような要件を満たす必要があるのか、確認していきましょう。

 

不法行為に基づく損害賠償請求の成立要件は、以下の通りです。
①相手方に「故意又は過失」があること
②違法な行為をしたこと(「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」こと)
③「損害」が発生したこと
④行為と「損害」との間に因果関係が認められること
(⑤加害者に責任能力があること)
これらの要件を満たせば、損害賠償請求をすることができます。そして、請求をする場合、まず始めは示談交渉からスタートすることになります。示談交渉とは、話し合いによって損害賠償請求をしていく手段をいいます。示談交渉をした結果示談が成立すれば、そこで示談金を相手方から支払ってもらうことになります。これが損害賠償に当たります。仮に示談が成立しなかった場合には、損害賠償請求訴訟を起こすことになります。

 

ここからは、具体例を用いて、犯罪被害がどのように不法行為を構成していくのか説明していきます。

 

■暴力をふるわれたとき
暴力は、刑法上の「暴行」に当たり、違法な行為です。また、「暴行」をするときには、暴力をふるう意思のもと行っている場合が多いため、たいていの場合には先ほど確認した要件の①②を満たすことになります。そして、暴力によりケガをした場合には、病院での治療費などの損害が発生しているため、③を満たします。また、精神的な損害として、慰謝料を請求することもできます。もちろん、暴力とケガは因果関係が認められるため、④も満たします。このようにして、損害賠償請求の要件を考えていくのです。

 

■窃盗など財産犯罪にあったとき
刑法上の窃盗罪や横領罪、詐欺罪などの被害にあった場合にも、①の故意や過失について認められれば、行為は当然②を満たすので、①②共に要件を充足しています。そして、物を盗まれたなどの損害が発生しており、③を満たします。犯罪と被害との因果関係があれば④も満たし、請求が可能となります。ここで、請求できるのは、慰謝料はもちろん、盗まれた物の時価を請求することができます。

 

以上が、犯罪被害を受けた際の損害賠償請求に関する知識になります。
なお、民事の損害賠償請求とは別に刑事責任を追及する方法もあります。具体的には告訴したり、被害届を出すことで相手の刑事責任を追及することです。刑事責任を追及する過程の一段として、損害金の支払いを受けられる場合もあります。

自分が損害賠償請求できる場合に当たるのか、告訴できるのか分からない、具体的に何をすればいいのか分からないなど、損害賠償請求に関してお悩みの方は、ぜひ一度フェアネス法律事務所までご連絡ください。弁護士がご相談のひとつひとつに対して、最善のご提案をさせていただきます。

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弁護士紹介

昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。


市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。

また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。


裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/


弁護士 牧野 茂

所属団体
  • 第二東京弁護士会(17922)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター
  • 日弁連刑事弁護センター幹事 
著書
  • 裁判員裁判のいま(成文堂)
  • 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
  • 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
  • 裁判員制度の10年(日本評論社)

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