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損害賠償の請求方法とは?|それぞれのメリット・デメリットについて解説

損害を受けた際の賠償金請求には、示談・調停・民事訴訟という3つの選択肢があります。
それぞれの方法には特徴があり、状況に応じて最適な手段を選ぶことが重要です。
本記事では、医療費や休業補償、慰謝料など、さまざまな種類がある損害賠償について、請求方法の特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。

損害賠償の基礎知識

誰かに損害を与えてしまった場合、その補償を行うのが損害賠償です。
その際に支払う必要があるお金を、損害賠償金と呼びます。
損害賠償金には医療費や休業補償、精神的苦痛に対する慰謝料など、さまざまな種類が存在します。

損害賠償の2つの種類

損害賠償には大きく2種類に分けられ、契約に基づく債務不履行と、契約とは関係のない不法行為です。

賠償の種類

発生条件

特徴

債務不履行による賠償

契約上の義務が果たされない場合

契約関係が必須

不法行為による賠償

契約関係がなくても発生

日常生活での事故など幅広い場面で適用

損害賠償金を請求する場合の3つの方法

損害賠償金を請求する場合には、示談・調停・民事訴訟という3つの選択肢があります。
それぞれの方法には独自の特徴があり、状況に応じて最適な手段を選ぶことが大切です。

示談

示談は当事者同士の話し合いで問題を解決する方法になります。
弁護士を通さなくても話し合いができるため、費用を抑えながら早期の解決が可能です。
しかし、示談には証拠隠滅や時間稼ぎなどのリスクが潜んでいます。

調停

調停は簡易裁判所が関与する公的な解決方法です。
示談がまとまらない場合の、次の選択肢として活用できます。
調停委員会の立ち会いのもと、当事者は自由に意見を主張できるのが特徴です。
調停は相手方の管轄する簡易裁判所で実施されます。
当事者間で合意が得られた場合、調停は成立となり簡易裁判所から調停調書が発行されます。
ただし、相手が非協力的な態度をとる場合や呼出状を無視する場合などの行為が発生するかもしれません。
誠意の見られない相手に対しては、調停を経ずに訴訟を選択することで時間と労力を節約できる場合もあります。

民事訴訟

民事訴訟は裁判所で損害賠償の判決を求める法的手続きです。
裁判官が当事者の主張や証拠に基づいて客観的な判断を下すため、公平な解決が期待できます。
示談や調停とは異なり、民事訴訟では双方の合意は必要ありません。
裁判所が下した判決に従うことが基本です。
訴訟の途中で和解が成立することもありますが、上訴されると解決までに数年を要する可能性もあります。
時間や手間はかかりますが、公平な判断を求める場合に有効な手段です。

それぞれの請求方法におけるメリット・デメリット

ここからは、示談、調停、訴訟という損害賠償を請求する3つの方法における、メリット・デメリットを解説します。

示談による解決のメリット・デメリット

示談での解決におけるメリットは、費用を抑えながら迅速な問題解決が可能な点です。
示談は当事者の合意が必要なため、内容に納得できない場合は成立しません。
弁護士に相談する場合でも、調停や裁判と比較して費用を抑制できます。
一方で、専門知識がないまま示談を進めた場合、不利な内容に合意してしまうリスクが存在するのはデメリットです。
示談では遅延損害金や弁護士費用の請求ができません。
また、専門家に相談せずに自力で交渉を進めた場合、損害賠償額が本来より低くなる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

調停による解決のメリット・デメリット

調停のメリットは、中立的な第三者の意見を得られ、相手との直接対話を避けることができることです。
裁判と比べると費用を抑えながら早期解決が可能で、非公開で進められるため個人情報を守り、柔軟な解決方法を見出せます。
当事者の合意がない限り調停は成立しないため、一方的に不利な結果を避けられます。
さらに、成立時の調停調書には判決と同等の効力があり、強制執行も可能です。
一方、調停では必ずしも交通事故の専門家が調停委員として選任されるわけではありません。
相手が欠席を続けると不成立で終了する可能性があります。
1回程度の開催頻度のため、示談より時間を要する傾向にあり、複雑な事案では双方の合意が必要なため、解決が困難になることもあるので注意が必要です。

民事訴訟による解決のメリット・デメリット

民事訴訟では弁護士基準に基づく適正な賠償金を獲得できる可能性があります。
裁判所による公平で信頼性の高い判断が得られ、複雑な問題でも解決が可能です。
判決には強制執行力があるため、約束が守られない場合も法的な強制力で解決できます。
一方で、民事訴訟では裁判所に支払う費用や弁護士費用など、相応の費用負担が必要です。
また争点が多い事案では、解決までに1年以上の期間を要することもあり、時間的な負担も考慮する必要があります。

まとめ

損害賠償金を請求する方法には、示談・調停・民事訴訟の3つがあります。
事案の内容や状況に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。
示談は早期解決が可能ですが専門知識が必要です。
調停は第三者の意見を得られ、民事訴訟では公平な判断が期待できます。
損害賠償の請求方法について迷った際には、弁護士への相談をおすすめします。

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弁護士紹介

昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。


市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。

また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。


裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/


弁護士 牧野 茂

所属団体
  • 第二東京弁護士会(17922)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター
  • 日弁連刑事弁護センター幹事 
著書
  • 裁判員裁判のいま(成文堂)
  • 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
  • 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
  • 裁判員制度の10年(日本評論社)

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