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損害賠償として請求できるもの|種類や計算方法など

事故によるケガや契約違反によって損害を被った際には損害賠償を請求できますが、具体的に請求できるものを把握している方は多くありません。

この記事では、損害賠償として請求できるものや種類、計算方法について解説します。

損害賠償の種類

損害賠償には次のように2種類に分けられるので、詳しくみていきたいと思います。

債務不履行による損害賠償とは

債務不履行による損害賠償とは、債務不履行(債務者が債務に関する契約の義務を果たさないこと)によって生じた損害に対する補償のことを言います。

債務不履行には次の3つのものが該当します。

 

  • 履行遅延(債務の履行が遅れること)に該当する場合:納品などが納期限よりも遅れた場合など
  • 履行不能(債務の履行ができなくなること)に該当する場合:譲渡する約束をしていたものが破損して渡せなくなった場合など
  • 不完全履行(債務を履行した内容が不完全であること)に該当する場合:納品した商品の中身が間違っていた場合など

 

これら3つに該当する場合は、契約違反によって損害が生じたものとして債務者に対して損害賠償を請求できます。

不法行為による損害賠償とは

不法行為による損害賠償とは、不法行為(故意または過失によって被害者の権利や利益を侵害すること)によって生じた損害に対する補償のことを言います。

不法行為には、暴行・誹謗中傷・窃盗・詐欺・交通事故・労災などが該当します。

ただし、不法行為による損害賠償を請求する際には、加害者の違法な権利侵害や利益侵害があった場合に限られるため、故意や過失であろうとも違法行為がなければ請求できません。

損害賠償として請求できるもの

損害賠償として請求できるものには大きく分けて以下の3種類があります。

積極的損害

積極的侵害とは、実際に発生した損害に対して請求できる賠償金のことです。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

 

  • ケガや事故による入通院治療費や入通院交通費、将来の手術費用や診断書などの費用
  • 危害を加えられて壊れた物の修理や買い替えの費用
  • ケガや事故によって介護が必要になった場合の介護費用や義手義足などの装具費用

消極的損害

消極的損害とは、将来的に得られたはずの収入に対して請求できる賠償金です。

たとえば、以下のものが該当します。

 

  • 休業損害:不法行為によって働けなくなった期間の収入
  • 逸失利益:不法行為によって得られなくなった将来の収入

精神的損害

精神的損害とは、精神的な苦痛に対して請求できる賠償金です。

たとえば、以下のようなものが該当します。

 

  • 入通院慰謝料:不法行為によって危害を加えられ、入通院が必要になった精神的な慰謝料
  • 死亡慰謝料:不法行為によって危害を加えられ、亡くなったときの慰謝料

損害種別による賠償額の計算方法

損害種別による賠償額の計算方法についてそれぞれ解説したいと思います。

積極損害の計算方法

積極損害の計算方法は、請求項目によって異なります。

治療費の場合はケガの治療にかかった費用、入通院交通費は入院・通院にかかった費用、車いすや義足などの購入費用を請求できます。

また、将来の手術費や治療費、被害者が亡くなった場合は葬祭費などもそのまま請求できます。

休業損害の計算方法

休業損害とは、不法行為故による損害で仕事を休む場合に、休んだ期間中の収入や利益を補償するものであり、以下のように職業によって計算方法は異なります。

給与所得者の場合

給与所得者の場合は、勤務先に休業前3カ月の収入を計算してもらい、その3カ月間の収入を90日で割り、1日あたりの基礎収入額を算出します。

基礎収入額に休業日数を乗じた額が休業損害額になります。

また、給与所得者の場合は、賞与も含めて基礎収入額を算出することもあります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は、損害により休業を余儀なくされた前年度の収入を確定申告などで調べます。

調べた額を365日で割り、1日の基礎収入額を算出して、その基礎収入額に休業人数を乗じて求めます。

専業主婦の場合

専業主婦の場合でも請求できます。

専業主婦は、賃金センサスと言われる「賃金構造基本統計調査」による統計資料を基に女性全年齢の平均賃金を調べます。

その平均賃金を365日で割り、1日の基礎収入額を算出し、休業日数を乗じて算出します。

まとめ

今回は、損害賠償として請求できるものや種類、計算方法について解説しました。

損害賠償として請求できるものには、積極的損害・消極的損害・精神的損害の3種類があり、それぞれ計算方法が異なります。

契約違反や不法行為によって生じた損害などで悩みや不安を抱えている場合は、法律の専門家でもある弁護士に相談することもご検討ください。

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弁護士紹介

昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。


市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。

また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。


裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/


弁護士 牧野 茂

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  • 第二東京弁護士会(17922)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター
  • 日弁連刑事弁護センター幹事 
著書
  • 裁判員裁判のいま(成文堂)
  • 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
  • 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
  • 裁判員制度の10年(日本評論社)

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