損害賠償請求と手続き
損害賠償請求とは、相手方が何らかの行為をしたことにより損害を被ってしまった場合などに、金銭的な補償をしてもらうことのできる請求をいいます。請求できるのは、大きく分けて2パターンとなり、相手方が契約を守らないなどの「債務不履行」のパターンと、相手方が違法な手段を用いてきたなどの「不法行為」のパターンがあります。それぞれ民法に定められており、その条件を満たしていれば、請求ができます。請求は、個人だけでなく、企業などの団体にもすることが可能です。
ここでは、「債務不履行」と「不法行為」の2パターンそれぞれについて、その成立要件や具体的な請求方法など、基礎知識を確認していきましょう。
■債務不履行に基づく損害賠償請求
債務不履行は、相手方が契約による約束を守らない場合をいいます。そのため、この債務不履行に基づく請求は、契約関係にある者同士でないと成立しません。債務不履行の分類は①履行遅滞②履行不能③不完全履行という3つです。いずれの場合にも損害賠償請求をすることができます。
なお、この債務不履行は、民法の条文には「債務の本旨に従った履行をしないとき」、「債務の履行が不能であるとき」のように規定されています。債務不履行があったことのほかに、損害が発生したこと、債務不履行と損害発生との間に因果関係が認められることも条件となっています。
しかし、このあと確認していく不法行為に基づく損害賠償とは違って、相手方の故意や過失については、請求される側が立証責任を負います。そのため、請求する側は立証せずに済みます。
■不法行為に基づく損害賠償請求
不法行為に基づく損害賠償請求の成立条件は、
①相手方に「故意又は過失」があること
②不法な行為が行われたこと
③損害が発生したこと
④行為と損害との間に因果関係が認められること
(⑤相手方に責任能力があること)
となっています。債務不履行の場合には、契約関係にある者同士での請求でした。その一方で、不法行為は契約関係にない者同士でも、不法行為をした・されたという関係で請求をすることができます。つまり、契約関係の有無に関係なく請求することができます。また、立証責任については、不法行為に基づく損害賠償の場合、被害者側(請求する側)に負担が大きいものとなっています。債務不履行の場合とは異なり、相手側の故意や過失についても立証責任を負うことになります。
■具体的な請求方法
まず、請求する相手方との契約関係の有無について確認します。契約関係にない場合には、不法行為に基づく損害賠償を選択することになるでしょう。契約関係にある場合には、債務不履行と不法行為の2つの請求をすることができますから、両方請求することをお勧めします。
そして、最初は示談交渉から始まります。ここで示談が成立すれば、示談金によって損害の補償を受けることができます。ここで示談が成立しなければ、裁判を起こすステップへと移行していきます。
以上が損害賠償請求についての基礎知識になります。フェアネス法律事務所では、損害賠償請求に関するご相談を受け付けております。お悩みの際には、ぜひ一度当事務所までご連絡ください。
当事務所が提供する基礎知識
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弁護士紹介
昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。
市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。
また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。
裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/
弁護士 牧野 茂
- 所属団体
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- 第二東京弁護士会(17922)
- 第二東京弁護士会裁判員センター
- 日弁連刑事弁護センター幹事
- 著書
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- 裁判員裁判のいま(成文堂)
- 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
- 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
- 裁判員制度の10年(日本評論社)
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