今からすべき相続対策はある?
遺産相続は、ご自身の死後、大切な家族が安心して暮らせるようにするための重要な手続きです。
しかし、相続は複雑で、遺産の分け方を巡って家族間でトラブルになることも少なくありません。
こうした事態を未然に防ぎ、故人の意思を尊重した円満な相続を実現するためには、生前からの計画的な準備が不可欠です。
この記事では、円満な相続を実現するために今からできる対策について解説いたします。
相続対策とは?
相続対策とは、ご自身が亡くなった後、残された家族が遺産をスムーズに承継できるように、生前に準備することです。
その主な目的は、遺産を巡る家族間のトラブルを防ぎ、故人の意思を尊重した円満な相続を実現することにあります。
相続対策には、財産を誰にどれだけ残すのかを明確にすることや、相続手続きを円滑に進めるための準備などが含まれます。
適切な対策を講じることで、遺族の負担を減らし、大切な故人の意思を尊重することができます。
今からすべき相続対策
円満な相続を実現するためには、ご自身の生前から準備を始めておくことが重要です。
相続人になり得る人を把握する
被相続人の死後に遺産分割協議をスムーズに行うためには、まず誰が法定相続人になり得るのかを正確に把握しなければなりません。
相続人が1人でも欠けている状態で遺産分割協議を行っても、その協議は法的に無効と判断されてしまいます。
法定相続人になり得る人を正しく把握するためには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を収集し、血縁関係を詳細に辿る必要があります。
この調査を怠ると、後から新たな相続人が判明してしまった場合、手続きをやり直すことになり、多大な時間と費用がかかるだけでなく、大きなトラブルに発展する可能性があります。
相続財産を明確にする
相続人が確定したら、次は相続財産の全容を正確に把握することが重要です。
この作業は、プラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産もすべて調査し、財産目録として一覧にまとめることから始まります。
預貯金、不動産、有価証券、自動車、生命保険など、あらゆる財産を網羅的に調査します。
財産目録を作成し、相続人全員に共有することで、被相続人の死後、遺産分割協議を円滑に進めることができます。
財産がどこに、どれだけあるのかが不明確なままだと、後から財産が見つかり、遺産分割協議をやり直す必要が生じることもあります。
正確な財産調査は、相続人全員の納得感を得るためにも不可欠です。
特に、不動産や株式といった評価が変動する財産については、専門家による適正な評価も重要となります。
遺言書を作成する
遺言書を作成することは、有効な相続対策の1つです。
遺言書には、誰にどの財産をどれだけ残すかを明確に記載できるため、遺産分割を巡る争いを未然に防ぐことができます。
遺言書がない場合、法定相続分に従って遺産を分割することになりますが、不動産など分割しにくい財産がある場合は、揉める原因となります。
また、遺言書には、内縁の配偶者やお世話になった友人などの法定相続人ではない人に財産を残す遺贈の意思表示を記載することも可能です。
さらに、遺言書で遺言執行者を指定しておけば、その人が相続財産の管理や名義変更といった手続きを代行してくれるため、相続人の負担を軽減できます。
遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言といった種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、形式不備で無効になるリスクがあります。
一方、公正証書遺言は公証人が作成するため、法的有効性が最も高く、安全性が確保されています。
相続対策を弁護士に依頼するメリット
相続対策を弁護士に依頼することには、いくつかの大きなメリットがあります。
まず、相続人同士の紛争を未然に防ぐことができます。
弁護士は、遺留分などの法律問題を考慮した、有効な遺言書作成のアドバイスを提供してくれます。
まとめ
相続対策は、残された家族が安心して暮らせるようにするための重要な準備です。
相続人を確定し、相続財産の全容を把握した上で、ご自身の意思を明確にした遺言書を作成することが、円満な相続を実現するための最も効果的な手段です。
また、弁護士に依頼することで、手続きの負担軽減やトラブルの未然防止といったメリットが得られます。
相続は、人生の終わりに直面する大切なプロセスであるため、後悔のない準備を進めることが重要です。
相続対策を検討の際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
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弁護士紹介
昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。
市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。
また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。
裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/
弁護士 牧野 茂
- 所属団体
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- 第二東京弁護士会(17922)
- 第二東京弁護士会裁判員センター
- 日弁連刑事弁護センター幹事
- 著書
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- 裁判員裁判のいま(成文堂)
- 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
- 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
- 裁判員制度の10年(日本評論社)
事務所概要
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