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離婚後の子どもの姓と戸籍はどうなる?戸籍の基礎から徹底解説

離婚後の子どもの姓や戸籍の変更について、具体的な手続き方法で悩む方は多いのではないでしょうか。
本記事では、離婚時の姓や戸籍の基本的な知識や、子どもの氏や戸籍の変更手続きまで、知っておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。

戸籍について

日本人の身分関係を証明するうえで、戸籍は必要不可欠な公文書です。
家族関係を正式に示す戸籍制度では、婚姻関係にある夫婦と独身の子どもを1つの単位として記載しています。
戸籍に関する基本的な規定は、戸籍法の第6条で定められています。
戸籍における代表者となる筆頭者は、結婚後に姓を変更しなかった配偶者です。
現在の日本では、結婚時に多くの女性が夫の姓を選択する傾向にあるため、筆頭者は夫が務めることが標準的です。
戸籍の管理運営は本籍地の市区町村役場が実施し、法律で定められた届出によって記載内容は更新されていきます。
戸籍の更新は戸籍法に基づく各種届出制度によって行われ、正確な記録が保持されているのです。

離婚後の姓について

離婚の際の姓については、結婚時に選んだ姓の変更有無によって取り扱いが変わってきます。
結婚時に姓を変えていない場合は、離婚後もそのままの姓を保持できます。
婚姻届の提出時に夫婦同姓を選択した場合でも、姓を変更しなかった配偶者は離婚後に姓を変える必要はありません。
実際の例として、結婚時に妻が夫の姓に変わった場合は、夫の姓は離婚後も変わることはありません。
婚姻時に姓を変更したひとについては、別の規定が設けられています。
離婚後は婚姻前の姓に戻ることが基本的な流れとなり、法律では「復氏」という言葉で説明されています。
具体的なケースでは、結婚時に夫の姓へ変更した妻が離婚する場合、結婚前の姓に戻ることが一般的な手続きです。
婚姻前の姓への変更手続きは、離婚届と同時に行うことが可能です。

婚姻続称の届出について

離婚後に元の苗字に戻っても、婚姻中の苗字を継続使用できる制度があります。
婚姻続称の届出は離婚から3か月以内に行う必要があります。
この期限が設けられている理由は、個人の呼称を社会生活において安定させるためです。

離婚後の子どもの姓の変更について

離婚後の子どもの姓に関しては、重要なポイントがあります。
離婚により親が旧姓に戻る場合でも、子どもの姓は自動的に変更されることはありません。
母親が親権者になった状況においても、子どもは父親と同じ姓を保持し続けます。
法律では子どもの権利と身分関係の安定性を最優先に考えています。
親子が同じ姓でないと同一戸籍に入れない制度となっているため、母親の姓へ子どもの姓を変更したい場合は、特別な手続きが必要です。
母親が婚姻時の姓を継続使用する場合でも、追加の手続きが必要になります。
母親が使用する婚姻時の姓と、父親から引き継いだ子どもの姓は、法律上で別個のものとして扱われるためです。
子どもの姓の変更には、家庭裁判所への許可申請が不可欠です。
戸籍における重要な変更事項となるため、裁判所は子どもの幸せと利益を十分に考慮しながら判断を下します。
姓の変更は子どもの日常生活や心理状態に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な検討が必要です。

離婚後の子どもの戸籍変更について

離婚が成立しても、子どもの戸籍は父親側に残されたままとなります。
親権者に指定された母親の戸籍へ子どもを移動させるためには、市区町村役場での追加手続きが必要です。
手続きの詳細は本籍地の市区町村役場で確認することができ、戸籍変更に必要な書類の説明を受けることもできます。

子どもの姓を親と同じにするための具体的な手順

親権者が子どもの姓を自分と同じにするためには、法律で定められた手続きを踏む必要があります。
ここからは、その際の具体的な方法をみていきましょう。

子どもの姓の変更許可を申立てる

民法第791条第1項に基づき、子どもは家庭裁判所の許可を得ることで父母どちらかの氏に変更できます。
この手続きには期限は設定されていません。
申立人の資格は、子どもの年齢によって異なります。
15
歳以上の子どもは本人が申立人となりますが、15歳未満の場合は法定代理人が申立てを行わなくてはいけません。
申立ては子どもの住所地にある家庭裁判所に対して行います。
手続きには申立書、子どもの戸籍謄本、親の戸籍謄本、収入印紙800円分、予納郵便切手などの書類が必要です。
申立て後は審判手続きによる審理が行われ、状況によっては即日審判と即日交付を受けられる場合もあります。

戸籍の届出を行う

家庭裁判所から許可を取得した後、戸籍の入籍届を提出することで姓の変更が正式に効力を持ちます。
届出は15歳以上の子どもは本人が、15歳未満は法定代理人が行い、届出書、審判書謄本などを本籍地か届出人の居住地の市区町村に提出しましょう。

子どもが成人した後の姓の変更について

子どもには、成人後、元の姓に戻る選択肢が法律で保障されています。
親の姓に変更していた子どもは、成人に達してから1年以内に届出を行うことで、以前使用していた姓に戻ることが可能です。
この権利は民法第791条第4項に定められています。

まとめ

離婚後の姓と戸籍の変更は、当事者それぞれで手続きが異なります。
婚姻時に姓を変更した配偶者は原則として旧姓に戻りますが、3か月以内なら婚姻続称も可能です。
子どもの姓と戸籍は自動的には変更されないため、親権者の戸籍に入れる場合は家庭裁判所への申立てと市区町村での手続きが必要です。
具体的な手続きの方法や個別の事情については、専門家である弁護士への相談をおすすめします。

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弁護士紹介

昭和25年12月5日生まれ。慶應大学法学部を卒業。第二東京弁護士会に所属。弁護士として、30年以上のキャリアを持つベテランの弁護士です。


市民生活の法律問題全般や企業法務を幅広く扱っています。

また、社会問題への参画として日弁連裁判員本部委員を努めるなど、裁判員制度の推進・改善を目指す活動にも貢献。市民の皆様が裁判員として効率的に仕事ができるよう、有志で裁判員経験者との交流団体である裁判員経験者ネットワークを設立し、共同代表世話人として2ヶ月に一度、交流会を開催するなど、積極的な活動を続けています。


裁判員経験者ネットワーク https://saibanin-keiken.net/


弁護士 牧野 茂

所属団体
  • 第二東京弁護士会(17922)
  • 第二東京弁護士会裁判員センター
  • 日弁連刑事弁護センター幹事 
著書
  • 裁判員裁判のいま(成文堂)
  • 取調べの録画ビデオ~その撮り方と証拠化~(成文堂)
  • 「民事陪審は実現できる」(二弁フロンティア2020年1月2月論考)
  • 裁判員制度の10年(日本評論社)

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